【新国立競技場の改築費問題】本当の恐怖は、東京オリンピック後に待っている

誰もが「おかしい」と思っている新国立競技場

総工費2520億円。現行案での建設に反対する人が95%(読売新聞調査)。オリンピックの会場を作るのに、なぜこんなにお金が必要なのだろうかと、みんなが疑問に思っている証拠だ。

この2520億円という金額がどれくらいおかしいのかを改めて確認しよう。  

大型スタジアム7個分の総工費を上回る

過去、国内に建設されてきた大規模スタジアムの数々。その中でも収容人数3万〜7万人という超大型に絞って、その総工費を合計すると約2429億円。つまり、新国立競技場の総工費2520億円を使えば、7個の大規模スタジアムを建設できる。

日産スタジアム(横浜・7万人収容) 約603億円

長居スタジアム(大阪・4万7千人収容) 約400億円

埼玉スタジアム(埼玉・6万人収容) 約356億円

豊田スタジアム(愛知・4万5千人収容) 約340億円

味の素スタジアム(東京・5万人収容) 約307億円

ノエビアスタジアム神戸(神戸・3万4千人収容) 約230億円

カシマサッカースタジアム(茨城・4万人収容) 約193億円(改修)  

過去のオリンピック5大会分の総工費を上回る

シドニー五輪、アテネ五輪、北京五輪、ロンドン五輪、リオ五輪、それぞれで建設されたオリンピックスタジアムの総工費をすべて足し合わせた額を上回る。つまり、新国立競技場の総工費2520億円を使えば、5個のオリンピックスタジアムを建設できる。

CJgpB7kUAAA-ufC.jpg-large (出典:ツイッター)  

東京メトロ副都心線の総工費を上回る

東京メトロ副都心線は、池袋・渋谷間8つの駅を走る都内最後の地下鉄新線。この総工費用は2510億円だ。つまり、新国立競技場の総工費2520億円を使えば、副都心線をもう一つ作って、別のスタジアムに誘導することができる。

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東京スカイツリー3本分を上回る

スカイツリーの総工費は650億円。つまり、新国立競技場の総工費2520億円を使えば、これを3本建ててもお釣りがくるし、なんならスカイツリーの上にスタジアムを建設できるんじゃないだろうか。  

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東京ディズニーランドの総工費を上回る

東京ディズニーランドの公式ホームページでは、「工事は順調に進捗したものの工費は想定以上にかさみ、着工当初に見込まれた予算1,000億円は瞬く間に増加」し、「最終的な総事業費は、約1800億円」となった。つまり、新国立競技場の総工費2520億円を使えば、ディズニーランドをもう一つ作った上で日産スタジアムクラスの会場を建設できるということだ。

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もう例えは十分だと思うが、誰もが「おかしい」「設計を見直すべきだ」と思っている。普通に考えれば異常に高額だとわかる。総工費のお金をどこから調達するかも決まっていないし、オリンピック開催までに完成するという確証もない。現状は大成建設と33億円分の随意契約を結んだだけ。

それに、2520億円使ってもスタジアムのすべてが当初想定のとおりに完成するわけではない。イスは一部仮設式にし、開閉式の部分は五輪後に建設するらしい。また運営面でも、五輪後は赤字見通しと言われている。すさまじい減価償却費が、何十年にも渡ってのしかかる。それでも建設を止めようとしない下村博文文部科学相とJSCの「常軌を逸した奇行」が続いている。  

海外メディアはどう報じているのか

ロサンゼルスタイムズの7月1日の記事では、スタジアム建設費だけではなく、オリンピック開催後にかかる経費についての指摘があった。    

2012年ロンドン大会のスタジアムは、(オリンピック開催後に)プロのサッカー会場に変えるのに11億ドル(1320億円)かかった。中国は、5億ドル(600億)を使った。 東京はオリンピックにかかる全経費が50億ドル(6000億円)から60億ドル(7200億円)の間で突出した。 森喜朗(東京2020委員会の委員長)は全く計画変更しようとしない。その代わりに、彼がIOC(国際オリンピック委員会)といかに生産的な話をしたかについて述べた。

イギリスのガーディアン誌では、莫大な総工費や、計画のずさんさを指摘し、オリンピックスタジアムの特徴的なアーチ(「キールアーチ」と呼ぶ)を、「宇宙船」や「自転車ヘルメット」に似ていると揶揄されているとした。    

格納式の屋根はオリンピック後にならないと建設されない。そして、スタジアムの80,000の席のうちの15,000は経費を下げる追加措置により、非常に単純なデザインに変更した。 2本の大きいアーチは、「宇宙船」や「自転車ヘルメット」などと揶揄されている。

べらぼうな総工費に驚く海外メディア。一時的に発生する総工費だけでなく、オリンピック後の指摘も多く目につく。これまでのオリンピックスタジアムが数百億円程度で建築されてきたことを踏まえると、新国立競技場の改築費の異常さが浮き彫りになるようだ。  

本当の恐怖は、オリンピック後の修繕維持費にある

目先の費用が2520億円かかるという問題は氷山の一角なのかもしれない。心配されるのはその後にかかる費用だ。  

オリンピックスタジアムを平常時に利用できるようにするために、追加で発生する維持費などの改修費は、完成後50年間で1046億円かかると試算されている(出所:NHK)。これはJSCの試算だから、かなり過少評価しているはずだ。過去のオリンピックの例を見ても、実際にはスタジアム総工費の数倍はかかる。とすると、7000億円以上の追加費用が発生するかもしれない。  

また、期待どおりの収益があがらない可能性は高い。その場合の赤字補填にも税金や都民の住民税が投入されるとすると、最悪「取り壊し」という話にも発展しかねない。取り壊すという意思決定がなされるまで散々赤字が垂れ流され、その後の取り壊し費用も莫大な金額になることは容易に想像がつく。      

ザハ・ハディド氏がデザインした新国立競技場は、今やトイレのような形だという中傷を受けている。      

あるいはチンコカップにも例えられている。ここまでコケにされてもまだ当初デザインのままでいくのか。     

もう馬鹿げた改築はやめにしないか。日本スポーツ振興センターは、潔く国際オリンピック委員会に頭を下げて、国際社会に謝罪して、設計の見直しを図るべきだ。2520億円の総工費を、その1/10の252億円にすれば、国際社会がJSCの設計変更を責めることはないだろう。むしろ英断だと讃えられるのではないだろうか。

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