介護老人ホームに「ぶち込まれた」ばあちゃんの話

うちの母は5年くらい前から介護老人ホームにぶちこまれてるんだけど、久しぶりに家に帰ったらばあちゃんも介護老人ホームにぶちこまれてた。

ぶちこまれたっていったら語弊あるかな。これまで長い間、母やばあちゃんの面倒を見てきた親父の判断だし、実際その判断は正しいと思う。みんなのためを考えて介護老人ホームに「入れてくれた」。ただなんとなく「ぶちこむ」って言ったほうが、介護老人ホームの実態に合ってる気がする。

うちの母は超スーパー高血圧だった。私が大学生になったときくらいからものすごく不規則な生活をしていた。まず、朝に起きてくることはない。必ず昼過ぎに起床。更年期障害だからいつも機嫌が悪い。しょっちゅう家族を怒鳴り散らして、ばあちゃんは怒りのはけ口にされていた。そのあと、なぜだかよくわからないけど夕方から買い物(食品じゃなくて、いわゆるショッピングの方)に出かけていった。

しこたま買い込んだ洋服やら帽子やら抱えて帰ってくるのが夜10時くらい(もうこの時点で親父の晩ご飯の支度もしないことがわかるだろう)。帰ってきたら更年期障害だからまた怒鳴り散らして、深夜まであぶらっこいものをずっと食べ続けて、明け方に寝る。そんな不規則な生活で体調はますます悪化。血圧はどんどん上がり、血圧測定器のメーターが振り切れるくらいにまでなっていた。

ある日、某喫茶店で倒れた。詳しい状況はわからないが、そのまま救急車で運ばれて入院、即手術。小脳出血といって、よくわからないけど脳から出血したらしくて、脳の手術をした。そりゃ倒れるよね。母の血液とかもうドロドロだったんだろうな。脳とかも動脈瘤みたいなのできまくってたんじゃないかな。

家族の中でもずっと前から「健康診断行け」とか、「入院しろ」とかさんざん言ってきたけど、聞く耳もたなかった。無理やりでも病院に連れていけばよかったと後悔したけど、それは後の祭り。脳の手術は無事成功したものの、半身不随に近い状態になった。頭から足先まで、左半身がすべて麻痺してる感じがわかるくらいの後遺症が残り、うまくしゃべれなくなったし、うまく嚥下できなくなった。

退院後、リハビリテーション病院という、リハビリに特化した施設に入った。実はそこでかなり回復が見られ、多少補助してあげれば十分歩くことができるようになったし、言葉も少しずつしゃべれるようになっていった。しかし、リハビリ病院を半年くらいで追い出されてからが地獄で、介護施設を転々とする「施設難民」になった。

施設を転々としているうちに、症状はどんどん悪化。立つこともままならなくなり、今では完全に寝たきり。以前はずいぶんとしゃべっていたし、こちらの言うことも理解できていたのに、今では全くしゃべらない。話しかけてもほとんど反応がない。植物状態に近い。まだ70歳くらいの母は、介護施設じゃ一番若いほうなのに、一番手のかかる患者になっていると思う。

父も私も仕事していたし、要介護5の母をつきっきりで面倒みるなんて不可能なので、施設にぶちこむしか選択肢がなかった、という父の判断は的確だった。おかげで自分もずっと仕事を続けられているし、好きなようにやらせてもらっている。というか、自分はほとんど何もしていない。楽させてもらっている。

そんな中、うちのばあちゃんは93歳という高齢にもかかわらず、結構しっかりしていた。耳は遠いし、目は見えにくいし、物忘れもちょっと激しくなってきているけど、よくしゃべるし、歩くこともできるし、洗濯とか家事もやってくれていた。たまに実家に帰ってきてばあちゃんに会うとホッとした。

そして今日帰ったら、ばあちゃんはいなくなっていた。ばあちゃんも介護施設にぶちこまれていたのだ。別に父を責めるつもりもないし、普段から何もしていない自分が父を責める資格もないし、父の判断は本当に妥当だったと思う。ただ何となく「ぶちこまれた」って表現がしっくりくる。あんなに元気で笑ってたばあちゃんが、いつの間にか家から追い出されたのだ。その事実がなんかショックだった。

介護してる人はよくわかると思うが、人間って介護老人ホームに入ると症状がどんどん悪化していく。みるみる弱っていく。すぐボケる。しゃべれなくなる。立てなくなる。介護老人ホームが何か悪いことをしているわけでもなんでもなくて、そういうものなのだ。何もすることがなく、ただ3食食わされてテレビ見たり、たまに運動したりするだけの単調な生活になると、人間はボケていく、これは自然の摂理なのだ。

そうやって徐々に悪化していく母やばあちゃんを見るのはとてもつらい。悲しい。昔の元気なころと比べるから悲しんだろうね。自分の中にいる母やばあちゃんと、現実の姿とのギャップが大きすぎる。頭では受け入れているけど、5年たった今でも、現実の母を見るとすごくつらい気持ちになる。

そうやっていずれは母もばあちゃんも死んでいくのだろうし、親父も介護老人ホームに世話になる日が来るのだろう。そして自分も・・もし自分が老人ホームに入所して、ボケて、なにがなんだかよくわからずに、ヨダレやら汚物たれ流してかろうじて生きて醜態をさらすくらいなら、サクッと死にたいなと思う。どうすれば楽に死ねるのかをしっかり研究しておいたほうがいいな。うまいものたらふく食って、コロッと死にたい。

とりとめのない話になっちゃったけど、ばあちゃんのことがちょっとショックで、心の中のもやもやを思うままに書いてみました。

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