採用担当者に告ぐ。「労働条件ばかり聞いてくる学生は願い下げ」という前に・・

ブラック企業人事担当者 vs ホワイト企業希望就活生 論争勃発!

事の発端は、プレジデント社が出したこの記事。

「仕事内容」より「労働条件」ばかりを聞く学生はいらない

とある採用担当者曰く、

「学生の中には『勤務時間は何時間ですか、残業はありますか』と聞いてくる人もいます。労働条件のほうが優先度が高く、仕事に対する情熱を感じない学生が非常に多い。そんな学生に労働の権利だけを断片的に教えるのは危険だと思います。働くとはどういうことか、働く喜びや意義を大学で教えてほしいですね」

そして(おそらくブラックな)IT系のベンチャー企業の採用担当者は、

「もちろん、社員のことを考えずに悪意をもって働かせている企業は問題だが、労働法を順守していない企業は山ほどあります。うちのような中小ベンチャーは、法律ギリギリのラインで働かなければ、それこそメシのタネがなくなってしまうのが現状。労働条件がよいから入りたいという学生はこちらから願い下げです」

労働環境がよいか悪いかよりも、仕事にやりがいを持てるかどうかを重視してほしい、という意図だそうです。これに対して賛否両論あって、なかなか盛り上がっている模様。

アメーバニュース「労働条件ばかり聞いてくる学生は願い下げ」 人事の本音に批判殺到「前時代的すぎる」では、反対意見も掲載されました。

弁護士の荘司雅彦氏は、

就職は家を買うよりも大きな「契約」だとし、「採用担当の方々には、もう少し『契約意識』を持っていただきたいと思います」

と語っています。

black_kigyou

労働条件を隠すから話がややこしくなる

この話は、どちらにも一理あるんです。採用担当者は、採用の現場で「どういう仕事がしたい」という情熱の話をしたいのに、労働条件の話はしたくない。これは確かにそうです。労働条件ばかり気にして、仕事の中身にはあまり興味が無いのか、と思ってしまうから。どうせ聞くならTPOをわきまえて入社後にしろ、ということでしょう。

でもね、採用担当者さん。入社後に労働条件確認してるようじゃ遅すぎるんですよ。そこでもしミスマッチが起きたりしたらどうするつもりですか?

この論争の問題の本質は、採用企業側が、労働条件を隠していることです。採用面接の場で、就活生にわざわざ労働条件を聞かせるな、ということ。そんな質問、就活生だってしたくないですよ。空気読めない質問だなんて百も承知。でも労働条件はというのはとても重要なことで、それがどこにも記載されてなくてわからないから質問してるんです。

かくいう私ももう中年ですけど、面接のとき就業規則を見せてください、と喉まで出かかりました。でもそれをグッと飲み込んで、「空気を読んで」仕事に対する情熱を語りました。でもそれってすごくフラストレーションなんですよ。本当は実体を知りたいのに、わからない。わからない不安というは確かに存在します。

企業はね、労働条件を隠さずに、ホームページ上に公開すればいいんです。就業規則も全部公開してください。ちゃんと公開されていれば、学生はその部分についてわざわざ面接で質問しません。

それを隠して面接を押し切ろうとするから話がややこしくなるんです。これ以上できない!ってくらい徹底的に情報開示してみたらどうですか?それでも仕事の魅力が勝るなら、学生は来ますよ。「残業100時間はさすがに厳しいので、上限を80くらいにさせてもらえませんか?」っていうような建設的な議論もできるかもしれません。そのほうがお互いのためになりませんか?

私は中小企業が労働法気スレスレでやっているの、わかってます。そうしないと中小なんてあっという間に潰れてしまう。労働時間が長くてハードだからこそ、それを上回る誘引として裁量が与えられたり、大企業では得られない大きな役割を任せてもらえるという魅力があるんじゃないですか。

面接の場で労働条件ばかり聞くな、というのはエゴです。傲慢です。あなたたち採用担当者が隠しているから聞くんですよ。労働条件の質問をしない学生だって、労働条件のことは重大な関心事です。空気を読んで質問していないだけです。本当はみんな知りたいんです。そんなこともわかっていない採用担当者は、採用担当失格だと断言できます。

ブラック企業の採用担当者であるあなたは、どんなブラック企業でも、どんなにひどい労働条件でも、甘んじて受け入れるんでしょうけど、世の中そんなお人好しはそうそういません。ですから、採用担当者であるあなたは就活生が何を望んでいるのかをもっと直視して、必要な対応をしなければいけないんです。

情報を隠すな。開示せよ。別に労働条件だけじゃないですよ。退職時の条件だって知りたいです。労働争議がちゃんとできる会社なのかも知りたいです。企業のホームページに載っている表面的な労働条件だけじゃなくて、先輩社員が実際にどれくらい仕事しているのか、どんな生活をしているのかもしりたいです。セクハラがあるのか、パワハラがあるのか、そういった本当の実体も知りたいです就活生にとってみれば、知りたいことって実は山ほどあるのに、それを隠して、入社してから問題になるんですよ。それって詐欺に近い行為だと、自覚していますか?

採用担当者の参考になるかわかりませんが、労働の実態をしっかりと開示しつつ、就職したいと思わせるとても良いホームページがあるので、それをご紹介します。

株式会社協同工芸社です。

スクリーンショット 2015-08-11 7.40.22

ザ・中小企業です。もちろんブラックな部分もあるでしょう。でも、開示している情報量がハンパない。社員の生活にフォーカスを当てて、徹底的に情報開示してます。多少ウソがあるかもしれないけど、それでもかなり信ぴょう性が高い情報だと思ってしまうくらい、開示の仕方がうまい。社員ひとりひとりの満足を追求しているからこそ、みんな活き活きと仕事しているようにみえる、とても魅力的なホームページです。

こういうのを参考にして、労働実態はブラックなんだけど、それを上回る誘引を提示できるよう、少し頭を使って採用活動をしてみたらどうでしょうか。私が知る限り、人事部にいる人間というのは大半が無能です。部長クラスから下位メンバーにいたるまで、日常業務の忙しさに追われ、採用に対する確固たるビジョンもない。労働法規の専門部署なのに、労働法規を守る意識も意外に欠如している。その一端が垣間見えるのが、今回の論争です。

いかにブラックであろうとも、会社に魅力があるからみんな働いてるんでしょ?逆に、世間に公開できないような本当のブラックな部分はなくしていくように採用担当者自身が会社に働きかけなきゃいけないんじゃないですか?もっとお客さん(就活生)のニーズを心から受け止めて、会社の実態を、その面白さとともに伝えていく、そういう努力が求められているんです。採用担当者自身の意識転換が必要だと、私は思います。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です